ITCL演劇哲学
ITCL Philosophy
ITCL演劇哲学
芸術監督ポールからのメッセージ
演劇は、その創造の過程および最終的な上演において人々を結びつける社会的な芸術であります。演劇が障壁を超えて人々を結びつけます。ますます単一的になり粉砕したテクノロジーの世界で演劇は別の可能性を我々に与えてくれます。
優れた演劇はいつでも国家や階級の障壁を超えてきました。シェイクスピアはグローブ座の貧しい「立ち見客」、国王及び彼の廷臣たちのために上演をしました。イタリアのコメディア・デラルテや日本の歌舞伎など我々が敬愛する演劇は幅広い聴衆に訴え、人々に直に接しています。私は“持たざる演劇”を提唱した偉大なポーランドの演出家グロトフスキーのもとで訓練をしました。“持たざる演劇”において舞台上の唯一の素材は俳優自身の肉体と声であります。
グロトフスキーは、演劇が聴衆の個々の殻を“開放する”と説いています。最も深遠で優れた感性と道徳的価値観から我々を切り離す障壁を演劇が取り壊すということです。私は自身の作品においてグロトフスキー、ピーター・ブルック、ブレヒト、メイエルホリドの様な偉大な演劇人の思想を展開、探求するよう努めています。これらの思想を実践できる国際的な基盤を発展させることが出来たことは非常に幸運です。
我々は恐らくヨーロッパやアジアのどのシアターカンパニーよりも多くの若年層に向けて上演をしております。我々の上演スタイルはダイナミックで現代的であり、人生、生活に関連しております。世界中の聴衆が演劇について基本的な鑑賞の眼を共有されていることを実感できることは幸せです。スコットランドの村、ロシアの歌劇場、日本の大学、そしてドイツの州立劇場で同じ作品を上演することにより、我々は同じ文明に属しており、我々は共通している、共有していると実感しました。
我々の演劇は人間が共有するものを称賛します。不毛で同一ではなく、多様で豊かなグローバル文化です。古典テクストを新しい手法で試みることにより関連性、文化的および道徳的な価値の永続性を示しています。我々は同時に、見知らぬ観客と共に笑い、生の上演に感動し魅了されることで、聴衆に他者との親交を楽しんで頂きたいと願います。有力紙からも多くの素晴らしい批評を頂きましたがドイツの地方紙が、私がとても意義深く考える以下のコメントを掲載しました。「もし若者が演劇は独自の魅力を備えていることを確かめたいのであればこのカンパニーを見るべきである。」彼らが正しい事を願っています!
ポール・ステッビングズ
インターナショナル・シアターカンパニー・ロンドン芸術監督
作品群:
動物農場、デイヴィッド・コパフィールド、オリバー・ツイスト、殺されたシャーロック・ホームズ、ガリバーの冒険、ピグマリオン、欲望という名の電車、カンタヴィルの幽霊、すばらしい新世界、ジキル博士とハイド氏、ドリアン・グレイの肖像、マクベス、1984、真夏の夜の夢、ハムレット、クリスマスキャロル、ロミオとジュリエット、リア王、じゃじゃ馬ならし、フランケンシュタイン…

写真:テンペスト(2016)