シアター&プロダクション

『クリスマスキャロル』

あらすじ

チャールズ・ディケンズ作
ポール・ステッビンングズ脚色・演出

あらすじ詳細

Stage photoエベニゼル・スクルージがクリスマスイブに寒々とした事務所で書記のボブ・クラチットをなじっている。スクルージの甥であるフレッドが訪ねてスクルージにクリスマスを祝うが、スクルージは金もうけしか目に入らずクリスマスを疎んでいる。クリスマスを「くだらない!」偽善的な時間の浪費であると切り捨てる。

フレッドは伯父を変えようと家族とのクリスマスディナーに招待するがスクルージは断る。書記のクラチットは、クリスマスは一年で最も素晴らしいというフレッドの意見に同意しつつも口にできない。「クリスマスに神のお恵みを」と言ってフレッドは去る。

チャリティ募金を回収する女性が3人現れる。貧しい人々のためにスクルージに募金を依頼する。しかしスクルージは「余剰人口を減らすため」貧乏人は死んだほうがよいとまで言って断固として協力しない。「くだらない!」と叫びながら女性たちを追い出す。クラチットは妻、障害を持つ息子のティム坊とクリスマスを過ごすのを心待ちにしている。

スクルージは帳簿を持って事務所を後にし、独りきりのクリスマスを過ごすため暗くて霧深いロンドンの街を家路に向かう。家に近付くと、不思議なことにドアノッカーが死んだ相棒ジェイコブ・マーレイの顔となっているではないか。

家に入ったスクルージはある不思議な霊力を感じる。見渡しても何も見えない。突然鎖と金庫に包まれたいマーレイが現れる。スクルージと同様に意地悪でケチなジェイコブ・マーレイの幽霊である。マーレイはスクルージの嫌味も脅かしもものともせず、相手に挑み、生き方を変え、冷血な金儲け人生をやめろ、となじる。マーレイはスクルージがその夜3人の幽霊から訪問されると予告して消え去っていくのだ。マーレイ自身に与えられた劫罰の世界へと…

やがて現れた亡霊など無視しスクルージは眠りに着く。が、時計が奇妙な音を奏で始める。

突然の光に目覚めさせられる。現れたのが“過去のクリスマス”なのだ。それは スクルージの子供時代、青春期へと誘っていく。未だ彼が今の様に頑なでなく優しかった時だったのだ、若くして死んでしまった溌剌とした妹のファニーを見たときは 泣きたくなった。最初の雇い主フェジウィグ氏なんかよく素晴らしいパーティーを してくれたっけ、ことにクリスマスのパーティーは忘れられない。そして彼の唯一の 恋人ベルなど。幽霊はこうしてスクルージに彼の過去の懐かしい人々に会わせてくれ 過去を今として生きさせてくれたのだ。人のもつ優しさに触れさせてはくれたが 彼は依然として自己を変えることができない。ベルを見たときは心が揺さぶられた。
彼はあの恐ろしい過去というものにまた立ち向かわなければならなかったのだ。

婚約指輪が戻され、結婚式が中止されたあの時だ。その理由は若い時でさえ自分の 借家人をひどく扱ったし、愛よりも金に夢中だったからだ。スクルージはもう一度 やりなおしたいと願うが、もう遅かった。彼は涙で崩れおち、茫然自失したまま 人間への信頼というものを疑い始めるのだ。

スクルージが目を覚ますと時計はあの時以来止まったままだ。突然現れたのが “現在のクリスマスの幽霊”だ。この愉快な幽霊はスクルージをクリスマスのロンドン へと案内する。街を下に見て空を飛び、貧乏人も金持ちもこの特別の日を楽しんで いるのを見る。

彼らはスクルージの甥の家を訪ねる。みなが愉快そうにクリスマス のゲームをしたりして楽しんでいる。スクルージが頑なに一緒に遊ぶのを断っても 気にもせず笑っている。スクルージはみなと一緒に遊びたくもないのだ。けれど 全ては幻惑にすぎないのだ。

次に幽霊がスクルージを連れていってくれたのは 貧しいクラッチ一家だ。スクルージが賃金を少ししか払わないのでとても質素なディナーのパーティーだ。ボブの“ちいちゃなティム”はびっこだが誰にも愛想がいい。

ティムが咳で喉がつまるとパパもママももうティムが死んでしまうのではないか と心配する。何という悲しい光景だ。スクルージは胸をうたれ、ボブの家族を救うと幽霊に約束する。

然し幽霊はスクルージの心境の変化をすぐには信じない。スクルージの変身は真実でなければ意味がないのだ。そこで幽霊がスクルージに見せたのはサンタクロースの持つ袋だ。中にいる子供はスクルージの自分勝手、残酷を意味している。それは無知と絶望以外のなにものでもなく、このままで大きくなるとロンドンと全世界を破壊するだろう。彼は“貧乏人なんか死ねばいい”とスクルージに告げる。

スクルージは驚愕しベッドに逃げ込む。

すると不思議なことにスクルージは自分のベッドにもどっているのだ。

時間がまるで止まっていたかのように再び時計が一時を打つ。3番目の最も恐ろしい幽霊が現れる。“未来のクリスマスの幽霊”である。体はないが音として存在している。幽霊はスクルージに未来の幻惑を見せるがスクルージは最初それとは理解できない。卑劣極まりない2人のビジネスマンがスクルージの死について語り、しかもよほどご馳走されなければ葬式にも出席しないとまで話している。スクルージは自分とは知らずに聞いているその男には友人は1人もいないとわかる。そして2人の借家人が大家の家に入り込み、彼が1人で死んでいるのを発見する。悲しむどころか喜びで叫んでいる。

スクルージはさらに強盗が家に入り込み死人から服をはぎとり物を盗んでいるのを目撃する。その男は生きていても死んでも誰にも構ってもらえないようだ。

最後にボブと彼の妻がティムの墓の前に立っている。スクルージはこれが本当に未来を写しているのか、それとも警告的な幻惑なのか幽霊に尋ねるが答えてもらえない。再び ティムの葬式とその隣の墓についてボブが話しているのを見る。隣の墓の男は愛も温かみも知らない男で、短くとも愛にあふれ幸福な人生を送ったティムよりもよっぽど不幸であったとボブが話すと、スクルージは恐怖におののいて自分がベッドではなく墓にいて、愛されることなく馬鹿にされ、死体となって盗まれ、そして今クリスマスの日に死んでいく男とは自分であると理解する。泣きながら気絶してしまう。

スクルージは朝目覚める。全て夢だったのか?人が変わったように街に出てクリスマスの朝を目に喜び始める。借家人のオーフリン氏の借金を帳消しにしてクリスマスパーティーの買い出しを依頼すれば、チャリティ回収の女性たちには多額の寄付金を申し出る。甥のフレッド一家のクリスマスディナーへの招待を今度は快く受ける。そして最後にボブ一家に会う。大事な書記の賃金増額とティムの第二の父親としての援助を約束する。スクルージはクリスマスの魔法で別人に生まれ変わった。誰もがクリスマスという特別な日には幸福になれるのだ。

作成: 渡辺三千代 (株)アシュリーアソシエイツ

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