作品の背景・テーマ
1945年に発表されていらい、多くの言葉に訳され、人々を魅了し、権力の本質を探った作品。ジョージ・オーウェルは『動物農場』を『おとぎ話』とも名づけた。ロシア革命の風刺が第一義的な意図ではあるが、その意味するところは広く、時代を越えた普遍性をもつ。
酷い飼い主の人間を追い出し動物の自治権を確立、輝かしい未来を目指した「動物農場」は、偽りの“夢”で自分たちを焚き付けた豚の権力者たちの腐敗により痛ましい結末に終わる。“夢”に躍らされる様々な動物たちの振る舞いは、人間がおかれた“大衆と権力者の根源的な縮図”を写し出すといえよう。
一般大衆(動物たち)とは感傷的で不安な存在といえる。自分たちを鼓舞する歌や響きのよいスローガンに酔う。それによって脆脆な精神を支えようとするかのように……。この弱さを知り抜いて、言葉の相対性、曖昧性を逆手に取り、大衆を意のままに、懐柔していったのが、動物農場のエリートである豚たちだったのだ。
“オーウエル瞥見より”(開高 健)
この作品は左であれ右であれ問うことなく、ある現実に対する
痛烈な証言であり、予言である。コミュニズムであれ、ナチズム
であれ、民族主義であれ、さては宗教革命であれ、いっさいの
革命、または理想、または信仰のたどる運命の、その本質につ
いての、悲惨で透明な凝視である……………。